日本のミュージカルのために。。。


by zatoumushi
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

■005「ミュージカル・コレクション」■

★ミュージカル・コレクション  ブロードウェイ―ハリウッド―東京

小藤田千栄子 著

講談社 刊

1986年11月 4日 発行

360p

\2000


【目次】

マイ・フェア・レディ  カーニバル  ノー・ストリングス
努力しないで出世する方法  アニーよ銃をとれ
ウエスト・サイド物語  サウンド・オブ・ミュージック  王様と私
ハロー・ドーリー  キスミー・ケイト  南太平洋
心を繋ぐ六ペンス  メイム  ファンタスティックス  オクラホマ!
屋根の上のヴァイオリン弾き  オリバー!  結婚物語
ラ・マンチャの男  回転木馬  ヘアー  スカーレット
赤毛のアン  プロミセス・プロミセス  スイート・チャリティー
タッチ  アプローズ  イルマ・ラ・ドゥース
ジーザス・クライスト・スーパースター  シュガー  日曜はダメよ!
旅情  ブリガドーン  ヴェローナの恋人たち
ロッキー・ホラー・ショー  ピピン  ザ・ウィズ/オズの魔法使い
君はいい人、チャーリー・ブラウン  グリース  セレブレーション
アニー  ゴッドスペル  アップル・ツリー  シーソー
地球を止めろ、俺は降りたい  アイ・ラブ・マイ・ワイフ
リトル・ナイト・ミュージック  ビートルマニア  コーラスライン
ファニー・ガール  ローマで起こった奇妙な出来事  ディーン
旅立て女たち  ザ・クラブ  スウィーニー・トッド  ピーターパン
キャバレー  ミズ・今年最高の女性  エビータ  ジャック
ダンシン  パジャマ・ゲーム  ジプシー  ナイン
アンデルセン物語  シェルブールの雨傘  タンジー
ソフィスティケーティッド・レディーズ  シカゴ  キャッツ
ボーイ・フレンド  デュエット  リトルショップ・オブ・ホラーズ
ガイズ&ドールズ  ベイブス・イン・アームズ
チャーリーはどこだ?  ラ・カージュ・オ・フォール  ラブコール
マイ・ワン・アンド・オンリー  キング・オブ・ハーツ  ベイビー
テイキング・マイ・ターン/人生はこれからだ
ケンタッキーの我が家/フォスター物語  ザ・ミュージックマン
紳士は金髪がお好き  スヌーピー!!!  踊れ艦隊のレディたち
くたばれヤンキース


【あとがき】

一九六○年代は、ふつう演劇の世界では、小劇場あるいは小劇場運動の始まりとされている。とりわけ後半から七○年代にかけての、新宿界隈の、あの熱い光景は私もよく記憶しているが、同時に六○年代は、今に至る
〈ミュージカルの時代〉の始まりでもあった。きっかけは映画の「ウエスト・サイド物語」であったろう。いうまでもなく私も夢中になったクチである。だが、もっと大きなターニング・ポイントは、ブロードウェイ・ミュージカル「マイ・フェア・レディ」の日本上演であった。初日の夜の感激…。今日につながる〈ミュージカルの時代〉は、すべてイライザの物語から始まっているのである。ここでは、その「マイ・フェア・レディ」から、一九八五年十二月までに日本初演された、ブロードウェイを中心とした外国製ミュージカルの足跡を、作品別に追ってみた。いまさら言うまでもないが、映画と違って演劇は、千秋楽が来れば、それでおしまいである。どんなにロングランをした作品であっても、千秋楽が来れば、役者さんたちは散り、セットはバラされて、ほんの数時間前の華やぎでさえ、そこには残っていない。だが、素晴らしい舞台は観客の記憶の中で、永遠の輝きを放つものなのである。あの舞台も、この舞台も、記憶の中では、さらなる輝きを増していく。そしてこの本では、そんな輝きの片鱗を集めてみた。あれもよかった、これもよかったという、これは観客席からのレポートである。同時にこの本では、映画化されているものは、映画版についてもふれてみた。まず映画から親しんでいる作品も多いし、それに自分をも含めてミュージカル・ファンは、軽くクロス・メディアをしてしまうからである。そして何よりもここでは、映画とか演劇とかいうメディアの問題ではなく、ミュージカルというジャンルの魅惑について、あらためて考えてみたかったからでもある。
この本を書くにあたっては二十数年分の資料をひっくり返し、観劇当日のメモや日記を読み直した。しじゅう上演作の一覧表と、にらめっこをしていたわけだが、つくづく思ったのは、年を追うごとに作品数が増えてきたことである。初期の頃は、次はいったい何を見せてくれるのか、それはもう楽しみだったものである。初日を見てはミュージカル仲間と情報を交換をし、また見に行って、こんどはどうだったかを話し合い、千秋楽には、みんな顔をあわせたものだった。ヒマだったということもあるが、思えば幸せな草創期だった。私たちの世代のミュージカル・ファンは、こんな時代にスタートしたのである。
あの頃から、ずいぶんといろいろなことがあった。ブロードウェイが近くなったという感覚もそのひとつだろう。夢のまた夢だったかの地に、なんとこの私までが、ほんの数回だが行けるようになったし、来日公演も増えている。
スターの成長や、作品の変遷を見るのも大きな楽しみだった。二十二歳で「王様と私」に出演した市川染五郎は松本幸四郎丈となり、「屋根の上のヴァイオリン弾き」の子役たちは、十数年後にはホーデル役になった。その「ヴァイオリン弾き」の森繁久弥氏の、いまにして思えば初々しかった初演の頃から“さよならテヴィエ”まで、ほぼ二十年、見続けることができたのも大きな幸運だった。「キャッツ」一作品のために、劇場まで建ててしまうシステムのすごさも、小さな劇団の健闘も、みんな同時代を生きることのできた幸運をかみしめてもいる。だが、時の流れは貴重な担い手を奪いもした。東宝ミュージカルのリーダーだった菊田一夫氏、ミュージカルの女王と言われた越路吹雪さん、「マイ・フェア・レディ」の日本オリジナル・キャストだった江利チエミさん…。書いている間じゅう、この方たちの仕事が思い出されてならなかった。
映画版はでき得る限りビデオで見直し、日本未公開の作品に関しては、これもでき得る限りビデオの入手につとめた。ビデオで昔の映画を見るたびに、なんという時代になったのだろうと思わざるを得なかった。そのむかし私たちは“日本最後の上映”というポスターを見るたびに、なにはともあれ映画館にかけつけ、生涯でこれが最後と本当に信じていたのである。

出版のきっかけは、かつてキネマ旬報社で机を並べた塚原稔氏がつくって下さった。現ブルーリヴァーの塚原さんが、講談社の古屋新吾氏をご紹介下さり、ここに本にすることができた。本当にありがとう。こんなうれしいことはございません。編集担当はブルーリヴァーの西角建男氏。原稿遅れてしまって、ご迷惑をおかけ致しました。それから舞台写真を提供して下さった各社・各団体の方々、みなさん本当にありがとうございました。


一九八六年六月 小藤田千栄子
[PR]
by zatoumushi | 2007-10-04 20:09 | ■和書■