■008「ブロードウェイ・ミュージカル事典」■
2007年 10月 05日
★ブロードウェイ・ミュージカル事典
芝邦夫 箸
劇書房 刊
1984年 9月20日 発行
473p
\6800
【目次】
人名事典
作品事典
コレクション
トニー賞一覧
作品年表
索引
【あとがき】
ミュージカルの事典を作ろうという話になったのは、1978年の夏頃だったと思う。ミュージカルに詳しい風早美樹氏の紹介で、劇書房の方とお会いした時に決まったと記憶している。過去にないほどミュージカルへの関心が高まっており、上演数も確実に増えてきているのに、適切な入門書や解説書がない。それが原因としてか公演の水準が一向に上がらないなどと嘆いていたのだが、それならば仲間を集めて解説書を作ってしまおうという話になった。ところが、いろいろの事情で結局は私ひとりで執筆することになった。かなりの分量なので何度も挫折しそうになったが、その度に何十年も辞書作りをしているという人の話を読んでは頑張った。ひとりで執筆したため内容に片寄はあるが、ミュージカルに対する考え方の点では統一性が保てたと思う。
本書を書くにあたっての方針は、迷うことなく決めた。『一冊でミュージカルのすべてが分かる本』これが基本方針である。ミュージカルに関心を持ち始めた人のための入門書ともなり、専門家でも資料として使用できる参考書となれば理想的である。この考えを実現するため、スタッフを中心とした人名事典、ミュージカルの歴史、そのほかミュージカルを理解する上で必要となる雑学的文化背景の4部構成を考えた。ところが人名事典と作品事典を途中まで書いたところで予定の分量をはるかに超過、そのまま続けたのでは1冊として出版できる見込みがなくなった。そこで、構成を再検討した。その結果、人名事典と作品事典を中心に構成することとし、それ以外については、どのようにアプローチすればさらに情報を得ることができるかという方法のみを『コレクション』の項で示すことにした。
資料としての使用に耐えるように、スタッフに関する情報は充実させたが、出演者や楽曲については比較的冷淡な扱いとなっている。これは主にスペースが限られたためであるが、ほかにも理由はある。役者については、映画とは異なり過去の演技を見るわけにはいかないので、知識を得てもその演技に接する機会がないため、ここで記述しても知識のための知識となってしまう可能性が強い。また、映画に出演している役者なら、映画の人名事典でも調べることができる。
楽曲については題名をどう表記するかに問題があった。本書では、原則として日本語表記を用い、日本語の題名と英語の原題は対応付け可能としたが、楽曲の場合は分量が多すぎるため対応付けが難しい。全部を日本語だけとすると原題が分からなくなるし、英語のまま書くのであれば洋書と同じなので意味がない。それにレコードを聞いていない人にとっては、楽曲の解説はあまり面白くないかも知れないと考えて、残念ではあるが今回は除くことにした。曲名を調べたい時は『コレクション』の項で述べた参考文献で調べて欲しい。
同じくスペースの点で割愛したブロードウェイ・ミュージカルの歴史、劇場についての解説は、次の機会にでも書きたいと考えている。舞台ミュージカルは日本にいると直接見る機会が少ないため、なかなか理解されにくいが、本書によりファンが少しでも増えてくれればと願っている。
なにぶん、浅学菲才なうえにひとりで執筆したので、内容の偏り、題名などの誤訳、その他の内容的な間違いや不行き届きな部分も多いと思うがお許し願いたい。少なくとも、今後の本格的な研究のための参考にはなるのではないかと思っている。
なお、多くの貴重な助言を下さった野口久光先生にはどれだけお礼の言葉を述べても十分とは言えない。先生はたいへんお忙しいにもかかわらず、校閲を快く引き受けて下さるとともに、本書の序文まで書いて下さった。再度この場でもお礼を申し上げておきたい。
最後に、約束の期限を過ぎても忍耐強く待ってくれた、寛大なる劇書房に感謝したい。特に、笹部博司氏、長峰英子氏にはお世話になった。両氏の演劇に対するすばらしい情熱がなかったら、この本も日の目を見ることがなかったろう。
1984年 6月12日 芝邦夫
芝邦夫 箸
劇書房 刊
1984年 9月20日 発行
473p
\6800
【目次】
人名事典
作品事典
コレクション
トニー賞一覧
作品年表
索引
【あとがき】
ミュージカルの事典を作ろうという話になったのは、1978年の夏頃だったと思う。ミュージカルに詳しい風早美樹氏の紹介で、劇書房の方とお会いした時に決まったと記憶している。過去にないほどミュージカルへの関心が高まっており、上演数も確実に増えてきているのに、適切な入門書や解説書がない。それが原因としてか公演の水準が一向に上がらないなどと嘆いていたのだが、それならば仲間を集めて解説書を作ってしまおうという話になった。ところが、いろいろの事情で結局は私ひとりで執筆することになった。かなりの分量なので何度も挫折しそうになったが、その度に何十年も辞書作りをしているという人の話を読んでは頑張った。ひとりで執筆したため内容に片寄はあるが、ミュージカルに対する考え方の点では統一性が保てたと思う。
本書を書くにあたっての方針は、迷うことなく決めた。『一冊でミュージカルのすべてが分かる本』これが基本方針である。ミュージカルに関心を持ち始めた人のための入門書ともなり、専門家でも資料として使用できる参考書となれば理想的である。この考えを実現するため、スタッフを中心とした人名事典、ミュージカルの歴史、そのほかミュージカルを理解する上で必要となる雑学的文化背景の4部構成を考えた。ところが人名事典と作品事典を途中まで書いたところで予定の分量をはるかに超過、そのまま続けたのでは1冊として出版できる見込みがなくなった。そこで、構成を再検討した。その結果、人名事典と作品事典を中心に構成することとし、それ以外については、どのようにアプローチすればさらに情報を得ることができるかという方法のみを『コレクション』の項で示すことにした。
資料としての使用に耐えるように、スタッフに関する情報は充実させたが、出演者や楽曲については比較的冷淡な扱いとなっている。これは主にスペースが限られたためであるが、ほかにも理由はある。役者については、映画とは異なり過去の演技を見るわけにはいかないので、知識を得てもその演技に接する機会がないため、ここで記述しても知識のための知識となってしまう可能性が強い。また、映画に出演している役者なら、映画の人名事典でも調べることができる。
楽曲については題名をどう表記するかに問題があった。本書では、原則として日本語表記を用い、日本語の題名と英語の原題は対応付け可能としたが、楽曲の場合は分量が多すぎるため対応付けが難しい。全部を日本語だけとすると原題が分からなくなるし、英語のまま書くのであれば洋書と同じなので意味がない。それにレコードを聞いていない人にとっては、楽曲の解説はあまり面白くないかも知れないと考えて、残念ではあるが今回は除くことにした。曲名を調べたい時は『コレクション』の項で述べた参考文献で調べて欲しい。
同じくスペースの点で割愛したブロードウェイ・ミュージカルの歴史、劇場についての解説は、次の機会にでも書きたいと考えている。舞台ミュージカルは日本にいると直接見る機会が少ないため、なかなか理解されにくいが、本書によりファンが少しでも増えてくれればと願っている。
なにぶん、浅学菲才なうえにひとりで執筆したので、内容の偏り、題名などの誤訳、その他の内容的な間違いや不行き届きな部分も多いと思うがお許し願いたい。少なくとも、今後の本格的な研究のための参考にはなるのではないかと思っている。
なお、多くの貴重な助言を下さった野口久光先生にはどれだけお礼の言葉を述べても十分とは言えない。先生はたいへんお忙しいにもかかわらず、校閲を快く引き受けて下さるとともに、本書の序文まで書いて下さった。再度この場でもお礼を申し上げておきたい。
最後に、約束の期限を過ぎても忍耐強く待ってくれた、寛大なる劇書房に感謝したい。特に、笹部博司氏、長峰英子氏にはお世話になった。両氏の演劇に対するすばらしい情熱がなかったら、この本も日の目を見ることがなかったろう。
1984年 6月12日 芝邦夫
by zatoumushi
| 2007-10-05 19:04
| ■和書■