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“Musical comedy: the most glorious words in the English language.”


by zatoumushi
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■014「ブロードウェイ」■

★ブロードウェイ  BROADWAY 1975-1980

大平和登 箸 

作品社 刊

1980年11月15日 発行

269p

\2000


【目次】

まえがき
ライザ・ミネリの「シカゴ」
コメディエッタ
パシフィック・オーバーチュアーズ
舞台に花開くK・ヘップバーン
リバイバル作品の楽しさ
シャーリー・マックレーンの魅力
ジュリー・ハリスと「アムハーストの麗人」
ミュージカル「風と共に去りぬ」
三文オペラの幻想
喜劇万歳
ブラック・ミュージカルへの疑問
二つの問題  「失墜者たち」と「黒人の少女のために」
プレストン・ジョーンズ「テキサス三部作」の登場
狂気の芝居  「哀れな殺人者」
ピエロの怒りとナイティンゲールの嘆き
不作のミュージカルとゼロ・モステル
前衛作家の活躍  モンクとスエードス
前衛芸術と観客  マース・カニングハムの成功
二つのイギリス現代劇と「ピアフ」
「桜の園」満開
リブ・ウルマンの「アンナ・クリスティ」
ピカレスク・アドベンチャー・ミュージカル「アニー」
トニー賞と「THE SHADOW BOX」
道徳劇の今昔
アル・パチーノの力演と大人のミュージカル
知られざるコール・ポーター
スティブン・ソンドハイムのミュージカルの世界
カナディアン・ミュージカル「赤毛のアン」
占星喜劇と追悼の夏
「ヘヤー」の失落と二つの異色舞台
ライザ・ミネリの力演ミュージカル
失敗したウェスカーの新作とシアター・キャバレー
コミック・ピアニストとピランデルロの異色作
「ドラキュラ」たちの季節
チャップリンの死・想い出の夏
ミュージックホールの閉鎖とミュージカルの復活
カフカの想念を定着した「K」
日本に縁のある舞台・彼我の距離  三島由紀夫の二作
二つのミュージカル新作
花咲くフォッシーの舞踊家魂
花びらの舞うが如く
人生の「第二章」
ミュージカルの社会性
日本人の書いた英語劇とアメリカ人の書いた日本劇
ダグ・ヘニングの幻視・幻想の世界  新マジック
ミュージカル「心の王様」とオフの「人形姉妹」
さまざまな秋の彩り
五十年後の再会劇「かわせみ」
力作「人と超人」ほか
ストリートソングと石の囁き
新作ミュージカル「スィニー・タッド」
ディアギレフへのオマージュ
ニューヨークで評価された安部前衛劇の独創性
トニー賞受賞作「エレファント・マン」
「ママの想い出」と「リチャード三世」
トム・ストッパードの冒険的試み
翔んでる女優サンディ・ダンカン
「エヴィタ」のために泣かないで
ブロードウェイの切符の求め方
一九七五年ブロードウェイ・ストライキ
トニー賞一覧
ブロードウェイ劇場地図
あとがき


【あとがき】

本書は、当時「キネマ旬報」の編集長であった白井佳夫氏のすすめで同誌に連載をはじめた「ブロードウェイ通信」より選んで一本化したものである。
“ブロードウェイという名前が有名なわりには、舞台の実体が知られていない、自由な形でよいから紹介してみないか”という白井氏の意図を汲んで、月二回発行の同誌に一号おきに連載をはじめ、やがて、これも旧知の黒井和男編集長の時代になって毎号連載をしはじめ、現在も続いているが、早いもので既に五年経つ。
表題は、私としては原題通りの「ブロードウェイ通信」とすべきことに固執したが、出版社の要請もあり、表題にした。「ブロードウェイ」と題した本には、十年くらい前に出版されたブルックス・アトキンソン氏の労作がある。私も、私流のブロードウェイ史をいつか書かねばならないと考えているが、そのときは、本書とは全く違った文体で書かれなければならないと考えている。
だから本書は、観るという行為も創る行為に照応する情熱や好奇心でもって為されなければ、とひとり決めして舞台に対峙してきた、まことにささやかな、ブロードウェイの舞台を未見の日本の愛好家の皆さんへ宛てた報告書である。
それにしても、日本におけるミュージカルの可能性は如何にとか、実生活を批評し、空洞化した実生活を生き生きと甦えらせる舞台への過剰な夢を夢みることで過ごした若き日の一時期の熱い想いは、ときに舞台を見下す冷やかな視線に転じることもあるのだが、願わくば、舞台を観る温かい視線がそのまま自分の浄福の時と化し、文章のうえに、少しでもそのぬくもりが残らんことをと心がけはしたのだが……(後略)


1980年 9月20日
ニューヨーク・ルーズベルト島の小居にて
大平和登
by zatoumushi | 2007-10-19 15:38 | ■和書■