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“Musical comedy: the most glorious words in the English language.”


by zatoumushi
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▼037「オズの魔法使い ―ザ・ウィズ―」▼

★オズの魔法使い ―ザ・ウィズ―
(日生劇場8月/東宝公演 親子で楽しむニッセイ夏休み劇場)

@日生劇場

東宝 製作

1976年 8月 1日〜25日

初演


【掲載内容】

ご挨拶にかえて / 雨宮恒之

「オズの魔法使い ―ザ・ウィズ―」の上演にあたり / 植村家隆

「ザ・ウィズ」むだばなし / 森岩雄

「ザ・ウィズ」をお楽しみ下さい / ケン・ハーパー

ミュージカル「ザ・ウィズ」のなりたち / 福田一郎

不滅の三つの物語
       「桃太郎」「西遊記」「オズの魔法使い」 / 神宮輝夫

座談会:ヴロードウェイの「ザ・ウィズ」
        観劇の印象 そして日本版ザ・ウィズ
             出席 / 岡崎友紀・上條恒彦・沢木順
             司会 / 酒井喜一郎


【ご挨拶にかえて】

「オズの魔法使い(ザ・ウィズ)」のオリジナル製作者ケン・ハーパー氏は、つい二年前まではニューヨークに住む無名の青年でした。
彼は数年前からアメリカ児童文学の名作「オズの魔法使い」を黒人だけの手でミュージカルにするという夢をいだき、乏しい貯金をはたいて脚本と曲を作りあげ、この企画をほうぼう持ちまわりましたが誰も相手にしません。よほど困ったとみえて、東宝のニューヨーク駐在社員の大平君のところまで相談にきたくらいです。
そしてねばり強い努力の結果、とうとう二十世紀フォックスから資金をひきだすことに成功し、1974年10月、ボルチモアで「ザ・ウィズ」の初演の幕をあけることができました。その後デトロイト、フィラデルフィアの各市で上演してみがきをかけたあと、昨75年 1月 5日にブロードウェイのマジェスティック劇場でのひのき舞台が実現したというわけです。果然この作品は大ヒットとなり、こんにちまでロングランを続けています。
私は昨年の 4月、この作品をみて内容のすばらしさに感動し、即座に日本における上演のハラをきめ、その許可を得るために早速ケン・ハーパー氏に会いました。ちょうどその数日前にトニー賞の授賞式があり、「ザ・ウィズ」が作品賞はじめ7つの賞を独占した直後だけに、彼は意気軒昂のていで、私の申入れを大喜びで承諾してくれました。こうして「オズの魔法使い(ザ・ウィズ)」の日本上演はきまりました。
思えば無名の青年から一躍脚光をあびたシンデレラボーイというべきハーパー氏の、あらゆる困難を克服して目的を達する不撓不屈の精神、それは同時に「オズの魔法使い」のテーマでもあるアメリカ人独得の開拓者魂と共通するものがあります。
いま建国 200年を期して見なおされようとしている、このみずみずしいフロンティア精神は、ひとりアメリカだけでなく世界じゅうの若いひとびとのこころの中に、ぜひもちつづけていただきたいものだと思います。
そこで私どもはこの作品を、学生も子供も自由に観覧できる夏休みの8月に、そしてニッセイ児童文化振興財団のご協賛を受けることのできる日生劇場で上演することにしました。ひとりでも多くの、若いひとびとにみていただきたいと思ったからです。
いま、実力のある気鋭のスタッフと、魅力に富む俳優陣、そして日劇ダンシングチームの精鋭たちが、この稀にみる傑作ミュージカルの日本初演を前に、日夜真剣な稽古にとりくんでいます。
ブロードウェイの「ザ・ウィズ」の、あの黒人独得のダイナミックな歌や踊りの迫力に対して、肉体構造を異にするわれわれの出演者たちがどうたちむかってゆくか、日本人には日本人の別の魅力ある行き方があるのではないか、そんなことを考えながら、私はいまはすべてを信頼するスタッフと出演者陣にゆだね、初日の幕のあくのを待っているこのごろであります。
末筆ですが皆様の来場を心から御礼申し上げます。


7月17日記
東宝株式会社専務取締役
演劇担当
雨宮恒之
by zatoumushi | 2007-11-11 16:23 | ▼プログラム▼