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“Musical comedy: the most glorious words in the English language.”


by zatoumushi
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▼038「グリース」▼

★グリース
(昭和52年度文化庁芸術祭参加)

@日本劇場

東宝 製作

1977年11月 3日〜27日

初演


【掲載内容】

“グリース”その続演記録更新の秘密は何か? / 風早美樹

50年代のDJ / 糸居五郎


【本文より】

(前略)ところで「グリース」は72年 6月、44番街のブロードハースト劇場で幕をあけ、11月に45番街のロイアル劇場に移った。73年に見た時、ブロードウェイ・ミュージカルに数少い、青春群像の躍動が新鮮に思われ、とにかく楽しかった。ミュージカルは何よりもエンターテイメントだ、という感じだった。一つには「グリース」が看板通りの新しい、50年代のロックン・ロール・ミュージカルであり私が毎週ラジオで軽音楽番組のスクリプトを書いていた時代の音楽だったからで、客席を去る時年がいもなく今聞いたばかりの「ウィ・ゴー・トゥゲザー」か何かを口ずさみ、肩をゆすって出て行こうとすると、年配の紳士がポンと背中を叩き「君は今夜のミュージカルがそんなに楽しかったか、どこが気に入った?」と尋ねかけてきた。よほど浮かれていた証拠で恥ずかしかったが、とっさに「我々の青春時代を思い出させてくれるからだ」と戦中派としては随分さばを読んで答えたが、小柄な日本人のことだからまだ若いと思ってくれたらしく「シュアー、シュアー」と言ってにこにこして私を追い越して行った。(中略)
互いに作曲、作詞、台本を兼ねた2人の作家ジム・ジェイコブスとウォレン・ケイシイは無名に近く、ケイシイに至ってはこれが初めて書いたショーであるという。
「グリース」のみが、現在も連日満員を続け、ロングラン記録伸ばしている秘密は案外この辺にあるのかもしれない。
つまり、人々は既成の権威に頼らず、受賞の対象になるようなパターンを持たず、野性的でラフにブロードウェイのきびしいショービジネスの世界をのし歩く無冠の帝王の姿に、世代を超えて快さを味わっているのではないだろうか。


“グリース”その続演記録更新の秘密は何か? より
風早美樹
by zatoumushi | 2007-11-11 17:23 | ▼プログラム▼