日本のミュージカルのために。。。


by zatoumushi
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▼048「スウィーニィ・トッド フリート街の奇妙な床屋」▼

★スウィーニィ・トッド  フリート街の奇妙な床屋

@帝国劇場

東宝 製作

1981年 7月 3日〜 8月30日

初演


【掲載内容】

幻想のスウィーニィ / 鈴木忠志

翻訳について / 倉橋健

日本の観客の皆様へ / スティーブン・ソーンハイム

染五郎の一つの歴史 / 戸板康二

六代目市川染五郎の舞台歴抄

スウィーニィ伝説の《狂える世界》
             伝説からミュージカルまで / 甲斐萬里江

「スウィーニィ・トッド」と鈴木忠志 / 大平和登

ソーンハイム=プリンス コンビの最新作
              「スウィーニィ・トッド」 / 風早美樹

鈴木忠志の演出 / 水落潔

ソーンハイムの音楽 / 滝弘太郎


【幻想のスウィーニィ】

私は長い間、外国の芝居でおもしろいと思ったものはあっても、演出家として自分も上演してみたいと思うものはなかった。しかし一昨年、俳優の指導のために渡米した折にみた「スウィーニィ・トッド」だけは例外だった。すぐに自分なりに上演してみたいと思い、資料を集めたりした。帰国してしばらくたってから、まったく偶然のことで、東宝演劇部で「スウィーニィ・トッド」を上演する企画があることを知った。私は「スウィーニィ・トッド」をミュージカルではなく、このミュージカルの原作であるボンドの脚本をつかって、ドラマとして上演してみたいと思っていたのだが、いろいろな推移があって、結局東宝ミュージカルの演出家として登場することになってしまった。(中略)
この作品が描いているのは、産業革命による急激な社会変化の過程で、周縁に追いやられざるをえなかった人たちのドラマである。狂人たちの合唱にもあるように、街は火事であり、ねずみと気狂いが喚き、せむしが踊り、黒い雨が降る都市での出来事である。日本でいえば、近代的な工場群に圧迫されだした下町のラーメン屋が、その舞台であろう。そのラーメン屋の周辺を徘徊する下層労働者や、急激な社会変化についていけないために、狂人として管理されざるをえない人たちが、かつてこのラーメン屋の二階に住んでいたが非業の死をとげた彼らの小さな歪んだ英雄を呼びだして、ひと芝居演ずるというものである。要するに、怨恨や復讐や絶望が生んだ期待のシンボルとして、スウィーニィ・トッドは登場してくる。だから当然、異常な話が展開されるのだが、その彼らの英雄が、ただ単に正義の味方ではないところに、この作品の最大のユーモアがあり、それが現代を鋭く照射している。ハロルド・プリンスの演出はすぐれたものだが、トッドが狂人たちの幻想であるという視点が、それほど強くうちだされてはいなかった。私が演出してみたいと思ったのは、トッドが共同の幻想として登場してくるというところに触発されたからで、当然アメリカでの上演とは力点の置き方が異なってくる。プロローグや精神病院の場面を全面的に変更したのは、そのためである。(後略)


鈴木忠志
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by zatoumushi | 2008-02-17 11:59 | ▼プログラム▼