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“Musical comedy: the most glorious words in the English language.”


by zatoumushi
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▼021「結婚物語」▼

★結婚物語 ―結婚についてのミュージカル―
 ヤン・ド・ハルトックの「四つの柱がある寝台」に拠る

@日生劇場

劇団四季 製作

1969年 1月 2日〜28日

初演


【掲載内容】

ミュージカル雑感 / 飯沢匡

『結婚物語』の周辺 / 倉橋健

二つの個性(越路吹雪と平幹二朗) / 戸板康二

越路さんに最敬礼 / 平幹二朗

年始助け合い運動:平さんのこと / 越路吹雪

芝居と音楽 / 内藤法美・浅利慶太

ミュージカルの舞台美術 / 金森馨・吉井澄雄

ブロードウェイ版『結婚物語』の出演者たち / 安倍寧

随想:日本のミュージカル
      わがミュージカル   / いずみたく
      ミュージカル随想   / 野口久光
      おとなのミュージカル / 伊藤強


【本文より】

こんどはじめてアメリカのミュージカルをやるわけですけど、僕はもともとミュージカルは創作ものでなければというたてまえだったんです。でも、いままで、こどものミュージカルを五本やって来て、ミュージカルというものの原理、やり方ということもわかって来ました。それで、いっぺん、あちらのミュージカルをそっくりなぞってみることも面白いと思ったんです。演出家としては表現のニュアンスを契約にしばられているこういう仕事は手間がかからないのでかえって残念です。音の流れもきまっている。台本もできている。あとは、少し日本的にアレンジするくらいの仕事しか残っていないみたいなんだ。だけど、あえてやってみたかったのは、お茶漬けや菜っぱを食ってきている僕らのフィーリングと、バターやチーズを食っている彼らのフィーリングとは違うわけで、それは発想法や具体的な運びの違いとなって出てきているはずで、そっくりそのままやってみることで、なるほどここが違うのかと感じるところがあるはずなんです。それを勉強したかったということがあるんですよ。その点では、この『結婚物語』は非常にうまく出来ているミュージカルですからね。実際やってみると感心する要素が多いですね。(中略)
あちらのミュージカルは、芝居になっていますね。日本のミュージカルは作曲家におんぶしすぎていると思いましたね。特にこの作品をやってみて。日本では、筋だけ作曲家に渡してあとはよろしくという感じなんです。だけど、かれらのものは、ちゃんと芝居の流れをつくっていって、その上にパッパッと花が咲いているようにミュージカル・ナンバーが来てますね。ことにこの作品なんか、日本だったらすぐダンス・ナンバーを多く入れたがるけど、思いきって捨てているしね。(踊りは事実あるけれど、踊り踊りとしては見えないんですね)そうそう。夫婦の心理の流れのうえにうまく曲の花を咲かせていってるという感じで、非常に芝居づくりがうまいですね。じつにうまい。まず、芝居にしてて、ドラマが芯にあるんです、ちゃんと。そこが日本のミュージカルと違うと思いました。だから僕らも芝居の骨組みをもっとしっかりつくってから作曲家に渡さないといかんと思いましたね。それが今度この作品をやってみて一番勉強になりました。(後略)


芝居と音楽 より
浅利慶太
by zatoumushi | 2007-10-30 20:12 | ▼プログラム▼