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“Musical comedy: the most glorious words in the English language.”


by zatoumushi
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▼118「ラヴ」▼

★ラヴ

@シアターVアカサカ

P&P 製作

1988年 2月10日〜21日

初演


【掲載内容】

ラヴ 初演の思い出と共に / 胡桃沢耕史

幕の開く前に / 勝田安彦

添田がミュージカルを創った!! / ビッグ錠


【幕の開く前に】

(前略)『オペラ座の怪人』の演出家でもあるハロルド・プリンスに、「矛盾」と題した回想録('74年刊)がある。その中でプリンスは、自分はどうも明朗でノーテンキなミュージカル・コメディには親しめず、ともすれば内容の暗く重いタイプの作品に惹かれてしまう傾向があると述べ、そういう作品をダーク・ミュージカルと呼んでいる。省みるに、僕もまたプリンスと同じ傾向があることに気がつく。過去に演出してきたミュージカルは、キリスト教の弾圧を背景に、道化役者が聖人として殉教して行く話だったり、画家とモデルの時空を超えた悲愁物語だったり、同性愛と自己愛がないまぜになった女吸血鬼譚だったり、である。そこへ今回の『ラヴ』である。僕にとっては初めてのミュージカル・コメディと言って良い。ただし、原作はマレー・シスガル。ただのミュージカル・コメディとは一味違う。歌は馬鹿馬鹿しいほど唐突に歌い出されてしまうし、踊りも突然軽やかに踊り出されてしまう。クルクルと目まぐるしいほど変化する登場人物たちの心理に合致したスタイル。ミュージカルによるミュージカルのパロディ。やはり一筋縄では行きそうもない。
稽古場の笑いを、何とかそっくりそのまま劇場の客席に持ちこみたいと、切に願う今日この頃である。

演出家 勝田安彦
by zatoumushi | 2008-04-16 23:30 | ▼プログラム▼